梓崎優(他)『放課後探偵団』創元推理文庫

ネタバレ注意。

梓崎の他、似鳥鶏、鵜林伸也、相沢沙呼市井豊の創元デビューの(当時)若手による、書下ろし学園ミステリ・アンソロジィ。

それぞれにキャラが立ってて面白かった。梓崎「スプリング・ハズ・カム」は端正な筆致の中でドラマティックさが引き立てられているし、相沢「恋のおまじないのチンク・ア・チンク」はひたすらスウィート。デビュー作の印象で敬遠していた似鳥「お届け先には不思議を添えて」もシンプルで悪くなかったし、鵜林「ボールがない」はワンシチュエーションの設定と語り口、真相の納得性の高さと世界観との親和性、構成要素がバランスよくまとまった好編だった。

唯一市井「横槍ワイン」だけいただけなかった。相沢作品ほど振り切れてないヌルさがあるし、「聴き屋」とかいう設定*1も消化不良。

評価はC+。

*1:そもそも物語上の要請に過ぎないものを主人公の属性として名前を付けてしまう感覚が厭。「データベースは結論を出せない」的な。