C.R.ブラウニング/谷喬夫(訳)『増補 普通の人びと』ちくま学芸文庫

ネタバレ特になし。

ナチス体制下ドイツ、一般市民により編成された「第101警察予備大隊」…「普通の人びと」が、ポーランドにおける3万8000人のユダヤ人虐殺、4万5000人以上の強制移送という残虐行為に、いかにして手を染め、順応していったかを解き明かす研究書。

逐語訳っぽい、読みにくい訳文の向こう側から、酸鼻を極める虐殺の実際と、その「悪の凡庸さ」の、社会心理学歴史学のアプローチにより読み解かれるメカニズムが立ち上がってくる。詳細にして正当な、大いに評価されるべき仕事だと思います。作中言及される「論争」の相手方は、同じ土俵にさえ上がれていないと思うよ。

記録のみ。