白井智之『おやすみ人面瘡』角川文庫

ネタバレ注意。

全身に「顔」が発生する「人瘤病」に蝕まれた日本で起きる事件を描く長編。

インモラルでグロテスクなSF状況下にロジックを展開する手法は確立されていて、三作目ともなると洗練の度が高まり、もはや端整ささえ感じさせる仕上がりだった。中心にあるのはあまりにもバカな発想による『SAW』の変奏だけど、まったく嫌いになれないバカさ加減だったわ。

あとはラストの転回、グロテスクな中に哀しみがあって、なかなかよかった。

評価はB-。

おやすみ人面瘡 (角川文庫)

おやすみ人面瘡 (角川文庫)