ネタバレ注意。
ある地方都市でかつて起きた一家殺害事件と、その映画化に関わることになる女たちのドラマを描く長編。
…プロットとしては面白いし、この作家らしいこまやかなエピソード作りや描写がされていたけど、それに反してラストの方はちょっと走りすぎの印象、いまいち盛り上がりやカタルシスを感じられなかった。
辻村深月あたりにも共通するけど、こういう技巧派の女性ミステリ作家の作法…端的には「こまやかさ」って、世界観をしっかり作ってくれる安心感はあるけど、時に偏執的に振れたりして、作品を人工的な印象のものにしてしまうってのは常々感じるMOROHAの剣。香の父親のエピソードとか、家族ドラマとしてしっかり感動を演出できてるところもあるんだけど、イツカさんのとことか、書きすぎだろと思うところも多かった。
評価はC+。
- 作者: 湊かなえ
- 出版社/メーカー: 角川春樹事務所
- 発売日: 2019/09/02
- メディア: 単行本
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