中島らも『こどもの一生』集英社文庫

ネタバレ注意。

五人の男女が孤島のセラピー施設に集められ、十歳のこどもへと退行催眠をかけられて始まる、ブラック・コメディ・ホラー。

「山田のおじさん」をめぐる、作品の中核的なアイデアはとても面白い。実体験ってことも含めて、さすが中島らもだと思う。

だけどこのアイデアの落ち着く先が、クローズド・サークルでのB級スプラッタ・ホラーってのはちょっともったいない。元が舞台劇って制約も作用しているだろうし、B級をこそよしとする志向も分かるけど、もっとジワジワとそら恐ろしい小説にできた気がするなー。

評価はC。

こどもの一生 (集英社文庫)

こどもの一生 (集英社文庫)