斎藤貴男『カルト資本主義』ちくま文庫

ネタバレ一応注意。

日本の企業社会に、「カルト的なもの」がどのように根を下ろしているのか、その豊富な実例を描くノンフィクション。

親本、文春文庫版も含め、単純な年次としては古いものもあるけど、内容は古びていないし、書下ろしの政治状況まで含めれば、問題としてはより拡大して根が深くなっている状況。毎度のことながら暗澹たる気持ちになります。カルトなひとびとの思想・立ち居振る舞いはバカバカしさに空疎な笑いが漏れるところもあるけど、こと政治状況については笑ってる場合じゃないですわ。

ビジネス書の売場を見ることも多いので、いまだ現役で棚占有してる稲盛、船井、中村天風といったお歴々のなんたるかが読めたのはよかった。しかしこの稲盛和夫をもってしても長い低迷を脱し得ない某J2クラブ、逆にかっこいいと思ってしまうわ…J2の雄、カルト資本主義に打ち克つ、なんて。

評価はB-。