多島斗志之『クリスマス黙示録』新潮文庫

ネタバレ注意。
交通事故加害者となり、被害者の母親から殺害予告を受けて狙われる日本人留学生の娘を、日系女性FBI捜査官である主人公が警護する、サスペンス・アクション。
さすがのリーダビリティでぐいぐい読ませるし、アメリカの捜査機構やジャパン・バッシングの時代性など、文化風俗も描き込まれていて興味深い。復讐鬼ヴァルダ・ザヴィエツキーや、独特のプロフェッショナリズムを感じさせる上官・キリップなど、キャラクタにも魅力がある。
しかしそれらが一体となって盛り上がっていくかと思いきや、クライマックスは雪山での単純なドンパチで、拍子抜けしつつ残念だった。カオリのキャラにもうひと捻りあれば…作者もそこが一番難しかったかもな。
評価はB−。

クリスマス黙示録(双葉文庫)

クリスマス黙示録(双葉文庫)

双葉文庫版貼っておきます。