V.E.フランクル/池田香代子(訳)『夜と霧』みすず書房

ネタバレ特になし。
精神科医/心理学者である著者の、ユダヤ強制収容所での体験記録。
ホロコーストの実際資料として、いわば野次馬根性で手を出すと、すぐに襟を正して向き直らざるを得なくなります。ここにあるのは悲劇の被虐者の嘆きではなく、一流の精神医学者の冷静で高潔でさえある視点であり、究極の人間性剥奪の場を描き出したそれは被虐者の心理状態の変容の科学から、やがて人間が生きることの意味、その最も根源的で先鋭的な哲学へと至る。
何も語る言葉を持ち得ない、圧倒的な重みと説得力。そのヴィジョンは荘厳でありながら、どこまでも地に足をつけていて、信頼の感動に胸が震える。
全人類必読、不朽の名著。
記録のみ。

夜と霧 新版

夜と霧 新版