ネタバレ注意。
タジキスタンの山岳地帯、桃源郷に擬えられる村に訪れた日本のTVクルーが巻き込まれる殺人事件。
おなじみ野生動植物の薀蓄も含め、独特の生活習慣を持つ中央アジアの山岳民族って、珍しい紀行趣味があって愉しめた。ラストではかなり労力のかかるテキストトリックの試みもあり、中編規模ではもったいない野心作。
…まあその野心が、どれだけの効果、完成度に寄与しているかは疑問だけど。肝心の殺人場面のトリック/ロジックの弱さは弱点だし。ただこの洗練とは程遠いディストーション感はこの作家の持ち味で、この作ではいい方に出ていると思います。トガったことやってんなーと好感をもって読みました。
評価はB−。
桃源郷の惨劇 (祥伝社文庫―Dramatic novelette)
- 作者: 鳥飼否宇
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2003/02
- メディア: 文庫
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