鳥飼否宇『桃源郷の惨劇』祥伝社文庫

ネタバレ注意。
タジキスタンの山岳地帯、桃源郷に擬えられる村に訪れた日本のTVクルーが巻き込まれる殺人事件。
おなじみ野生動植物の薀蓄も含め、独特の生活習慣を持つ中央アジアの山岳民族って、珍しい紀行趣味があって愉しめた。ラストではかなり労力のかかるテキストトリックの試みもあり、中編規模ではもったいない野心作。
…まあその野心が、どれだけの効果、完成度に寄与しているかは疑問だけど。肝心の殺人場面のトリック/ロジックの弱さは弱点だし。ただこの洗練とは程遠いディストーション感はこの作家の持ち味で、この作ではいい方に出ていると思います。トガったことやってんなーと好感をもって読みました。
評価はB−。

桃源郷の惨劇 (祥伝社文庫―Dramatic novelette)

桃源郷の惨劇 (祥伝社文庫―Dramatic novelette)