井上真偽『探偵が早すぎる』講談社タイガ

ネタバレ注意。
莫大な遺産を狙った親戚連中から次々に命を狙われる女子高生を救うべく、すべてのトリックを事前に察知し潰してしまう探偵の活躍を描く長編。
多岐川恭『的の男』に似たプロット、狙われるのがクズオヤジじゃなくて可憐なJKってのが感情移入させてくれますが…。変形の倒叙スタイルが目新しく愉しいけど、捨てトリックたちが段々と粗雑になっていく印象があったし、それらが連環してある大仕掛けに繋がるってプロットも、『その可能性はすでに考えた』の同様の趣向に比べたらいかにも軽く、縮小再生産の感が否めない。探偵役の設定も同シリーズの破壊的なはっちゃけからしてちょっと拍子抜けではあったし。
…なんやかんや不満を書いたけど、読んでて本格魂疼きっぱなしの愉しい作品ではあるし、新刊ですぐ読んでるところからもこの作家に対する期待の高さは自認するところ。これからも期待してます。
評価はC+。

探偵が早すぎる (上) (講談社タイガ)

探偵が早すぎる (上) (講談社タイガ)

探偵が早すぎる (下) (講談社タイガ)

探偵が早すぎる (下) (講談社タイガ)