中村文則『教団X』集英社文庫

ネタバレ一応注意。
現代日本で、あるカルト教団の暗躍と盛衰を描く長編。
『邪宗門』*1と比べてしまうと、文章も、人物造形も、哲学・神学要素も社会批評も、すべてが「若く」感じられてしまうのは事実。
でも俺は、ここに描かれるような義憤や理想主義を「若い」と嗤うようなことはしたくないし、《共に生きましょう》というピュアネスの側に身を置く者でありたいと思っています。
ダークでマッドなものを期待して読んだのだけど、登場人物を通じて披瀝される理想論に心洗われるようでいて、かつ官能描写に半勃起、という読書でありましたw
評価はC+。

教団X (集英社文庫)

教団X (集英社文庫)

*1:最近こればっかだな…しかしそれだけ、この作品は小説を量るモノサシとして、自分の中に大きな位置を占めるようになってしまった。