amazarashi 『メッセージボトル』

ベストアルバム。

孤独になっても夢があれば 夢破れても元気があれば
元気がなくても生きていれば 「生きていなくても」とかあいつらそろそろ言い出すぞ
(「ヒーロー」)

収録曲はもちろんアホほど聴いてるので、やはり初出を聴くんだけど、その意味で「ヒーロー」はなかなかキャッチィでよいなあと。《食欲がないもんだからさ 別に小銭がない訳じゃないんだよ》って入りも、「風に流離い」に張るツカミだね。
まあベストアルバムの選曲ってのは、そのアーティストに思い入れがあるほどなんやかんや言いたくなるもんで。個人的には「クリスマス」「雨男」の二大フェイバリットが入っていないのが解せないところではあるけど、amazarashi入門を企図されたというベスト、ここからハマってオリジナル音源でとんでもない名曲にブチ当たるという体験もよろしいのではないでしょうか。
個人的な眼目はDISC3、あまざらし時代の音源のパッケージ化。ピアノとギターのみのシンプルなアレンジで、現在に輪を掛けてエモーション垂れ流しの歌唱、初期衝動全開の貴重な作品であります。「光、再考」「未来づくり」でむき出しになったメッセージとエモーションは、秋田さんのヒストリーに照らせばさらに感動的だし、「少年少女」「隅田川」といったあたりもamazarashiのウェルメイドなバージョンとはひと味違って聴かせます。これのために買ってよかったと思える、ファンはマストの音源でしょう。
DISC4のDVDでは、特にライヴで感興の深い「しらふ」と「美しき思い出」がパッケージされてるのが嬉しいし、歌詞カードに付された自叙伝的小説も、この記念すべき作品に見合って感動的なものでした。そこに描かれた由来によれば、初の主催イベントにして、そのタイトルは見事に予見的なものであったわけです。
これからも多くの人の苦悩と苦し紛れの日々に、青森から届けられるメッセージボトルが、少しの勇気の光を照らしてくれるでしょう。

メッセージボトル(初回生産限定盤)(DVD付)

メッセージボトル(初回生産限定盤)(DVD付)