姫田光義『林彪春秋』中央大学出版部

ネタバレ特になし。
毛沢東中国のナンバー2、やがて権力闘争に敗れ、飛行機事故で謎の死を遂げる林彪の生涯を通して、中国現代史を描く研究書。
…とは言え、林彪その人の人となりというのは、まったく立ち上がってこない。前半は国共内戦を題材にした硬派な軍事研究だし、後半、中国共産党の魑魅魍魎蠢く権力闘争史においても、その人の存在、「列伝」は空白のまま。
そうしてその空白の存在感を浮き彫りにすると言うなら、そうした狙いもあり得るだろうとは思うけど、読んでて知的好奇心のテンションがアガるものではなかったというのが正直なところ。
現代中国史において個人的な興味の中心である文革がまったく端折られているのも残念だった。その狂気の沙汰にフォーカスしたものを読みたいのだけど。
この本では、周恩来の有能っぷりが印象的で、そっちを掘ってみたいとは思った。
評価はC。

林彪春秋

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