ネタバレ注意。
太平洋戦争ルソン島戦線における、飢餓の地獄を描く戦記小説。
今まで散々「合わなさ」を自覚させられてきた古処戦記ですが、しかしこの作品はよかったです。主題もドラマもシンプルで力のあるものだし、叙述もそれに見合って、平素より厭なクセの少ないもののように感じられた。
姫山というキャラクタに漂うヒロイズムと、ラスト近くでそれが反転する妙、そしてそのことが主題にもたらす一層の重み。
極限状態での人間ドラマが発揮するカタルシスは、確かに本格のそれにも似ていました。
評価はB。
- 作者: 古処誠二
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2005/07/20
- メディア: 文庫
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