立花隆『中核VS革マル』講談社文庫

ネタバレ一応注意。
タイトルの通り、二つのセクトの血で血を洗う抗争の歴史を描いたルポ。
もっと現代に近い視点で、総括的な内容かと思ったけど、全然抗争の真っ只中、ピーク期と言ってもいい時期に現在進行的に書かれたもので、完全に血腥い。そうして「戦争」の様子をやや近視眼的に追っていくことになると、分析対象の多くを占める各ステートメントの笑止な内容もあいまって、あまりその内実に興味が掻き立てられないというのが正直なところ。クソツボだのウジ虫だの、単純に言葉が汚くて不快だわ。筆者の筆じたいは明晰で安定しているので、共産党ものも読んでみようかなと思いはしたけど、こないだ読んだ小嵐九八郎の人物列伝の方が、読み物としては面白かったかな。
資料として使えそうなのは、奥浩平のノートとか、川口大三郎リンチの自己批判とか…特に後者は、胸に迫る悲しみがあるなあ。
評価はC+。

中核VS革マル(上) (講談社文庫)

中核VS革マル(上) (講談社文庫)

中核VS革マル(下) (講談社文庫)

中核VS革マル(下) (講談社文庫)