小森健太朗『バビロン空中庭園の殺人』祥伝社文庫

ネタバレ注意。
「バビロンの空中庭園」をネタに、古代の衆人環視下での王女消失と、現代の研究者の墜死の謎を絡めた長編。
古代史のネタは魅力的だし、そこでのトリックにも「見えない人」的逆説のアイデアを持ち込んでいるんだけど、いかんせんそれが結び付けられるべき現代の事件と、そもそも全体の叙述があまりにも貧相*1で、それらの美点が全て殺されているように感じた。
島荘に同じネタ渡したら、きっと五倍ぐらいの量の壮大な大法螺で酔わせてくれるんだろうなあ…と。
評価はC。

*1:すげー細かい話では、台詞に無駄な相槌とかが多過ぎる。