小嵐九八郎『蜂起には至らず 新左翼死人列伝』講談社文庫

ネタバレ特になし。
1960年の樺美智子から2000年の島成郎まで、日本新左翼史に連なる「死者」を時系列に並べ、その人とその時代について語った本。
本の構成として面白いとは思うし、いくつかの発見もあったけど、文体と各編の構成はちょっとクセが強くて、あまりバランスのいい読み物ではないな、というのが正直なところ。自身活動家であった著者のことなので、いろいろなしがらみでシンプルに書けない部分も多かったのだろうとは容易に想像できるし、実際吐露してもいるところだけど。
望月上史に捧げられた歌とか、高橋和巳の文章の鋭利さとか、奥平剛士の遺書の哀切とか、いろいろと頁を折ったところはあったけど、一番は前迫勝士の項、夫人に関わるオチの部分だった。これは使えるわ、とメモった。
文中敬称略。
評価はC+。

蜂起には至らず(新左翼死人列伝) (講談社文庫)

蜂起には至らず(新左翼死人列伝) (講談社文庫)