池井戸潤『オレたちバブル入行組』文春文庫

ネタバレ注意。
あまりに有名なドラマ原作なので梗概は略、という半沢直樹シリーズの第一作。vs浅野支店長の、あのままのお話です。
しかし細部は結構違っていて。半沢も堺雅人由来の柔らかさとのギャップがなくてひたすら直情的だし、ヨメも可愛げなく小煩いだけのキャラだし、壇蜜がやってたキャラがフィーチャされないのはいいのか悪いのか、しかし半沢実家関連のドラマは捨象され、大和田専務も出てこないのは気になるところ。
なんつーか、総じてドラマ版がいかにうまいこと脚色して、ストーリィを盛り上げたのが理解される内容でした。単体の小説としても痛快さは担保されているとは思うけど、浅野に対する決め手を掴むのが偶然に拠り過ぎていたり、終盤浅野の右往左往ぶりがそればっかりしつこかったりと、詰めの甘さ、ないしバランスの悪さを感じる部分もあって。
まあ痛快企業小説として、その持ち味を阻害しているものではないので、気にせず読んで、楽しかったでいいんだろうけど。
評価はB。

オレたちバブル入行組 (文春文庫)

オレたちバブル入行組 (文春文庫)