P.スタインホフ/木村由美子(訳)『死へのイデオロギー 日本赤軍派』岩波現代文庫

ネタバレ一応注意。
アメリカの社会学者による、日本赤軍研究。
多くは連合赤軍事件について費やされ、事件の時系列を追いながら社会心理学的なアプローチで解説が加えられるのだけど、そこではやはり、「イデオロギー」というものの果たした役割が過大に評価されてる気がする…『1968』でもちらっと触れられてた批判だけど。どうせ異文化の研究なら、もっと比較社会学的な視点が前面に立ってた方が読み応えがあったように思うな。
でも岡本公三のインタヴューなんてかなり興味深いテキストだったし、「転向」に主題のある社会学者らしく、連合赤軍事件のあとの「裁判」に割と紙幅を割いていて、そのあたりは他で読めないものだったので、本としての満足度は高かった。
リンチや銃撃戦の詳述には飽きてしまって、もっと長いスパンで事件を捉えたいと思うようになった今日このごろ。
評価はB。

死へのイデオロギー―日本赤軍派― (岩波現代文庫―社会)

死へのイデオロギー―日本赤軍派― (岩波現代文庫―社会)