篠田真由美『綺羅の柩』講談社文庫

ネタバレ注意。
建築探偵桜井京介シリーズ。かつてタイに一代を成し、「シルク王」と呼ばれたアメリカ人の失踪の謎を中心に据えた紀行ミステリ。
その実際にあったらしい「事件」は、松本清張にも作例のある有名なものなんだそうな。結構期待して読んだけど結論は生ぬるいラヴロマンスで、それも魅力的に描かれているとは言い難かった。
東南アジアの紀行趣味も作者のバイアスがかった視点が居心地悪いし、それ以上にメインのキャラクタたちの、甘ったるくくどくどしい感情のやり取りがとても気持ち悪い。桜井が栗山から貰い煙草するシーンとか怖気が走った。登場人物に吐かせるBL批判台詞の自意識過剰もあいまって…もっといくらでも書きようがあると思うのに、こういうのがその筋にはウケるんですか?
青のショタ造形とかもホント気持ち悪いよなー。あと語尾に「ッ」で感情強調しようとするのが、このシリーズの抑制欠如の象徴みたい。オウガバトルサーガかよ。
評価はC。

綺羅の柩 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社文庫)

綺羅の柩 建築探偵桜井京介の事件簿 (講談社文庫)