ネタバレ一応注意。
高校野球のスター選手の焼殺を追う探偵一家を、飼犬である元警察犬・マサの視点で描くマサシリーズの一編。宮部のデビュー長編。
犬視点て新奇性もそうなんだけど、プロットに対する社会性の取り込み方がダイナミックで、デビュー長編としての野心を感じさせる。その「走ってる感」にちょっと置いてけぼりを食うような場面はあったけど。
その印象をさらに拍車かけてるのが進也のキャラで、他のキャラとバランスを崩して書き込みすぎ。もともと少年キャラにはかなりの思い入れを感じさせる作家だけどそれにしても。
まあ『龍は眠る』でその思い入れが見事に結実してるので、それに向けた助走と考えればよしとすべきかも。
評価はC。
- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1992/12/10
- メディア: 文庫
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