ネタバレ注意。
東京の下町で古本屋を営む四世代大家族と、その周辺の人間模様を描く連作。
うん、正直ナメてたんだけど、存外楽しく読んでしまいました。メフィスト賞屈指の地味作家だったけど、このシリーズでのブレイクスルーも分かる気がします。
登場人物が皆、厭味にならない程度のクセを保持しながら、だけど基本的には愛らしく、そんな彼ら彼女らの悲喜こもごもを、ほっこりした気持ちで辿ることのできる、ハートウォームな作品です。それに大きく貢献しているのは視点人物のおばあちゃん(幽体)で、視点設定…物語のドライヴ感に効果的…と語り口…このハートウォーム感の演出装置として…の巧みさで、だいぶ勝ったな、という感じ。この語り口と世界観があるので、「日常の謎」としてのヌルさも瑕疵とは感じず。
さて、しかし個人的には花陽がMVP、《「若過ぎてすみません」》(128p)はかわいらしさに微笑みました。
評価はB。
- 作者: 小路幸也
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2008/04/18
- メディア: 文庫
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