宮部みゆき『レベル7』新潮文庫

ネタバレ注意。
記憶喪失の男女と、失踪した女子高生をめぐるサスペンス・ミステリ。
最初はちょっとSFじみて人工的な世界観だけど、展開が進むにつれてどんどん世俗的・土着的な真相が明らかになっていくのが、なかなかに面白いバランス。中心人物のモデルとして戦後史の某トリックスター*1を想起させるなど、宮部的な社会派エッセンスを感じさせつつ、一流のリーダビリティで長編の量感を苦にさせない。
真相・決着に若干の竜頭蛇尾感はあれど、さすが平均点の高いエンタテインメント・ミステリではあるまいか。
評価はB−。

レベル7(セブン) (新潮文庫)

レベル7(セブン) (新潮文庫)

*1:某ラッパーの血縁の人。