森博嗣『すべてがFになる THE PERFECT INSIDER』講談社文庫

ネタバレ注意。
家庭内読書会「森博嗣完全読破」企画、第一回課題本。

「さようなら。また会えると良いわね」女の声だけが聞こえた。「どこにいるのかは問題ではありません。会いたいか、会いたくないか、それが距離を決めるのよ」
(279p)

何回目かも憶えてない再読だけど、懐かしさを軽く凌駕して、何度読んでも鮮烈で完璧なプロット、枚挙に暇ないキラーフレーズの嵐、感嘆しかないですね。昔ノートに転記してたフレーズなんか、相変わらず素敵すぎた。
でもなんか『霧越邸』みたいに、「原風景」みたいな印象ってあんまりないんだよね。常にそこには「憧憬」というフィルタと距離があって、そこから生まれ出たわけでもなければ、またそこにたどり着けない自分の感性を感じる。
森博嗣作品にしか感じない、少し寂しい高揚感です。
評価はA+(再読)。

すべてがFになる (講談社文庫)

すべてがFになる (講談社文庫)