本格ミステリ作家クラブ(編)『透明な貴婦人の謎 本格短編ベスト・セレクション』講談社文庫

ネタバレ一応注意。
この間読んだのと同じ年次の分冊だけど、こっちはクオリティ的に一段落ちるかも。法月「中国蝸牛の謎」にせよ西澤「黒の貴婦人」にせよ、所収の短編集のさらに優れた作品が想起されてしまって…まあ初出が合わないんだろうけど、特に後者はこれだけ読んでもしょうがないような。
シリーズもの縛りということで、柴田よしきの正太郎シリーズ、およびはやみねかおるの虹北恭介シリーズのライトな読み心地は楽しかったです。その流れでもベストは松尾由美のバルーン・タウンシリーズ、「オリエント急行十五時四十分の謎」かな。これも既読だけど、改めて読んでもSF的なカリカチュアされた世界観と、バカ系のトリックががっちりかみ合って、知的なおかしみのある佳品に仕上がっていると思います。
評価はC+。