江戸川乱歩『江戸川乱歩全集 第7巻 黄金仮面』光文社文庫

ネタバレ注意。
「黄金仮面」「白髪鬼」の二長編と、短編「何者」、リレー小説「江川蘭子」の冒頭執筆部分を収録。
一番感興があったのは「何者」のホワイダニットかな。こういうプロット派のイメージがなかったので意外だった。つか「本格」としてのカタルシスは今までで一番だったかも。少なくとも「D坂」と張るレベル。
「黄金仮面」は例によって間延びしてグダグダ。せっかくのアルセーヌ・ルパンも出しただけってレベルだけど、不二子ちゃんのネーミングの由来は多分この作品なので、蘊蓄が語れる（誰に？）ようになりました。あとは仮面（仮装？）舞踏会のシーンなんかは蠱惑的な雰囲気があってよかったけどなー。
長編としては「白髪鬼」の方がバランスよく、一編の怪奇読み物として充分な出来。とは言ってもこちらは海外古典に原作ありの翻案もの。これまでの自虐自作解説でも苦手丸出しなプロット立案が、原作のアレンジレベルに置き換わったがゆえの余裕であることは明白でもあります。
評価はＣ＋。

江戸川乱歩全集 第7巻 黄金仮面 (光文社文庫)