愛川晶『六月六日生まれの天使』文春文庫

ネタバレ注意。
前向性健忘の男と逆行性健忘の女が織りなすサスペンス・ミステリ。
プロットとトリックをしっかり用意して、ケレンたっぷりの謎めいた展開で読ませます。ちょっと『眩暈』めいたシチュエーションでもありつつ。
何らかの叙述トリックが仕掛けられていることは認識しつつ、それでもどんなんやろーと期待感高く読んでいたのですが、正直真相は拍子抜けでした。自己目的化した叙述トリックの典型例のように感じられたし、せっかくこんだけのネタ仕込んでコレでは、竜頭蛇尾の誹りを免れ得ないと思います。
評価はＣ。

六月六日生まれの天使 (文春文庫)