本格ミステリ作家クラブ(編)『大きな棺の小さな鍵 本格短編ベスト・セレクション』講談社文庫

ネタバレ一応注意。
講談社ノベルスで年次で出てる(出てた?)その年の優秀短編のセレクション。
半分以上、それぞれの著者の短編集で既読のもので、むしろ未読のものほど、単著を手に取っていないということで、自分の中で作家としての評価が低いんだなーと読んでて納得の印象だった。本格としての評価はともかく、自分にとってのリーダビリティという部分では歴然たる差があったように思う。
特にやはり、柄刀の意味不明の文章にはテンションがそがれる。

 村長ヨークは七十ほどの歳のはずだが、大柄で、顔の下半分を覆う髭がモシャモシャと威勢が良かった。雰囲気としては、正装をしている木こりのようでもあり、労働者を装っている巨漢・水戸黄門のようでもある。それなりの風格の持ち主だ。
(「光る棺の中の白骨」、444p)

…誰か、校正してやれよ。
転じてベストは三雲岳斗「二つの鍵」かな。所収の『旧宮殿にて』も凄くよかった。あの本には、もっと好きな短編があったようにも思うけど、初出の年代ズレてたかしら。
評価はB−。