サカナクション 『DocumentaLy』

5th。
最近サカナクションはなんかもう邦楽ロックのトップスター的な祭り上げられ方をしているように思いますが(そして本人もその気っぽいですが)、俺はこの人たち本来もっとマージナルな場所に独自のポジション築くべきタイプだと思うな。ロックとポップ、マスコマーシャルとサブカルの狭間で。
一時期以降、あまりサカナクションをロックとして聴かない。ポップとして聴けば、しょっぱな「アイデンティティ」から「ルーキー」だのなんだの、疾走感と高揚感に期待は満たされる。ロックとしての深度やキレ味は、イントロから名曲の予感バリバリの「エンドレス」、あるいは「years」の複雑な音像に聴けるぐらいだと思う。「仮面の街」や「『バッハの旋律を夜に聴いたせいです。』」の、お得意のミュージカルじみたコーラスワークにもニヤリとしてしまうけれど。
なんにせよ、制作過程をDVDにして(あるいはアートワークに織り込んで)見せる、みたいな、肩に力入った主題の打ち出し方に、俺はあまり馴染めない。ただ単に聴いて、気持ちよくて、詞もぼんやりと意味ありげ、そのぐらいがちょうどいいと思うのですが。
…でも、そうやってイキった本編ラスト、「ドキュメント」なんて準表題曲はストレートな歌モノで、《愛の歌 歌ってもいいかなって思い始めてる》なんてシンプルに〆るあたり、なかなか憎めない感じ。
つか、好きな感じ。