山之内正文『エンドコールメッセージ』双葉文庫

ネタバレ注意。
短編集。小説推理新人賞受賞作含むデビュー作品集とのこと。
多くが「日常の謎」、あるいは小さな共同体内部での事件を扱っているのですが、ちんまりとした世界観の中に、説教臭さだけはたっぷり詰め込まれていて、居心地が悪いです。
「ほら、家族の絆って大事でしょう？」「こんなご近所さんとの関係、最近は失われているでしょう？」「虐待はこんなにも子供の心を傷つけてしまうんですよ」…押しつけがましい正義感を振りかざしてくる、ミステリ面した小説といえばまずなにより坂木司が思い浮かぶところですが、さすがにそれよりは抑制されているとはいえ、「うっせーんだよおっさん!」とでもトガってしまいたくなる、もうすぐ27歳の読者でございました。しかし「正義感」て…ミステリに最も必要ない要素だと思うわw
でもこうして見ると「日常の謎」って、ハードル低そうで実はすごく難しいし、だから高度な達成は本当に貴重だよね。北村薫と加納朋子しか思いつかねーもんな。
評価はＣ。

エンドコールメッセージ (双葉文庫)