新野剛志『罰』幻冬舎文庫

ネタバレ一応注意。
こないだのがいやまったく酷かったし、幻冬舎からの大作*1、しかもなんだか大上段に振りかぶったタイトルと、悪い予兆には事欠かなかったのでしたが。
…でもまあ、こないだのよりはよかったのかな、という印象。描写過多は相対的に抑えめになったし(とはいえ全体の分量は肥大してるが)、事件の構図もシンプルで分かりやすい。
だけどファム・ファタル的存在のヒロインが薄っぺらい、主人公が友情を感じる主要キャラクタの、「変人だけど好人物」造形が唐突、と人物描写が物足りなかったし、なにより主人公の愚昧さとナルシシズムに、こいつハードボイルドのハの字もねーな、と大いに鼻白んだのでした。
そう特に、フィリップ・マーロウを読んだ後では。
評価はC。

罰 (幻冬舎文庫)

罰 (幻冬舎文庫)

*1:特に印象悪いのが『永遠の仔』の記憶。