ネタバレ特になし。
短編集。
課長クラスの中年サラリーマンを主人公にした連作。こないだのスペースカウボーイよりは全然読めたけど、気に入らない点はあって、特に「ボス」のラストなんていかがなものか、柴田よしきに怒られるよと思った。そもそも全体的に卑小な話が多く、さらに根本的には、読書の時間にまでサラリーマンの話なんて勘弁してくれよ、と思いながらやる気なく読んでいたわけです。
…でも最後、「パティオ」って作品だけはよかったんですね。再開発地区のプロモーション担当の主人公と、そのひとけないウォータフロントに本を携えて日参する老人の交流。「おひょいさん」なんて単語でイメージを固定させてしまう安直さはいただけないけど、ここで描かれる心の交流の機微には胸をうたれるものがありました。
…おじいちゃん出て来りゃなんでもいいのかよ、という自問はあれど。
評価はC+。
- 作者: 奥田英朗
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2005/12/15
- メディア: 文庫
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