石田衣良『約束』角川文庫

ネタバレ一応注意。
短編集。
惹句である「泣ける話」ってのは、俺の最も忌避するところのもの。実は結構泣くんだけど、それだけに。
だけどこの作品集、家族とか友達とか難病とか、ネタはその例に漏れずベタなのだけど、それぞれの題材を、まっすぐ丁寧に磨きあげようという、作家の真摯なモチベーションが伝わってきて、好感度は案外に高かった。
もともとノーブルな文章において基礎体力のある作家なので、その点での瑕疵が少ないのも好材料。ヘタクソが書くと目も当てられなくなるからね。
繰り返し言ってることだけど、お爺ちゃんネタに問答無用で弱い俺にとって、「夕日へ続く道」と「ハートストーン」は双璧の反則技。
後者は特に、泣きました。
評価はB−。

約束 (角川文庫)

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