川西政明『文士と姦通』集英社新書

ネタバレ特になし。
貰い物の新書です。ありがとうございます。
いや、面白かったっすよ。タイトル通り、文豪たちの不倫スキャンダルがネタで…しかし碌でもない奴ばっかりやな、日本近代文学史。特にイメージ通り、谷崎のオヤジは酷いですw
しかし何かと頭でっかちだったり、肝心なところで右往左往しがち(志賀直哉センセイw)な男性陣に比べ、女性陣の肝の据わりっぷりが殊更に印象的です。取り上げられているのは宇野千代佐多稲子岡本かの子といった面々、著者が結構彼女らに肩入れしている感も窺えますが、それぞれなんだかかっこいいです。

 かの子は亀三との性愛によって身心の快楽を得た。また一平のすべてを許して受けいれる包容力で精神的にも安心立命を得た。このふたつが揃ったとき、かの子の芸術は奔放自在に開花したのである。
 かの子はみずからなにか大きな力そのものになって男たちを支配し、男たちは自分の意思で動く生物であることをやめて、大きな力で動かされる物さのものになって、かの子に奉仕したのである。
 (中略)
 かの子が亡くなった瞬間、一平は血の涙を流したという。
(137-138p)

…盛ってね? コレ。血の涙ってw
このくだりだけ読むと、岡本かの子は芥川だの志賀直哉だの島崎藤村だの、ものともせずに吹いて飛ばす文神の迫力なのですが。
実際、眼目であろう、「姦通がもたらした文学的な飛翔」は、女性作家にのみ感じられました。男性陣は総じて酷い。あと、すぐ死ぬ。
でも、谷崎以外。ある意味さすが。
評価はB。

文士と姦通 (集英社新書)

文士と姦通 (集英社新書)