ネタバレ特になし。
映画はとても面白かったのですけど、「原作」は残念ながら「ノベライズ」以下のクオリティでした。
物語の骨格は変わらず、川尻松子という一人の女性の昭和〜平成史における転落物語。松子の一人称パートと、死後の現代、その足跡を追う甥・笙のパートが交互に配置されるのですが、松子はどうしようもなく短慮だし、笙もまた幼稚さが鼻持ちならないしで、タイプの異なる、でも単なるバカによる視点構成が、感情移入と物語への没入を著しく妨げてくれました。
この薄っぺらさは結局作者の薄っぺらさだと思うけどね。作中に平気で「麻薬Gメン」とかって単語出しちゃうんだもんね。信用しかねるわ。こないだ読んだデビュー作が酷かったって先入観を差し引いてなお。
映画版にあったサイケデリアや、ブッ飛んだユーモアなんて期待してなかったけど、それでもあの独特の悲哀やおかしみがカケラもない、単純で人工的な悲劇になってしまっているのが残念でした。
でも、コレからアレを作ったんだから、中島哲也ってのはやっぱすげー監督だと思うわ。内海光司ネタ(思いだして爆笑)なんて見てると、どうも原作に対するリスペクトは皆無のようにも感じられるけどw
評価はC−。
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