村上龍『イビサ』講談社文庫

ネタバレ特になし。
フランス→モロッコ→スペインを旅する主人公の女の、性の饗宴と、「言語波」を媒介にしたイメージの狂奔。そのストーリーと言うより、それを描く文章の強度と爛熟を堪能すべき小説だ。後者は『MOUSE』なんかに似てる。
頽廃的・破滅的で、質感としては『コインロッカー・ベイビーズ』にも似てるけど、俺が読んでないだけで(つっても多分両手の指で数えられない程度には読んでるけど)、この人の小説はほとんどこんな感じなのかもしれない。こういう小説が、一番この作家らしいとは思う。紀行趣味も存分に満たされる、トラベル×官能×純文学。新ジャンルかもね。
表紙いいなーと思ってたら鈴木成一だった。こいつはほんとにもう!
評価はB。

イビサ (講談社文庫)

イビサ (講談社文庫)