ネタバレ注意。
基本的には、いつも通りの馳ノワール。今回の舞台はバンコク。
売春婦の蛇頭みたいなことをやってる主人公が、事件に巻き込まれる。その発端は女をタイから逃がすことだったのに、結局ままならなくて話はバンコクだけで完結してしまう。タイの紀行興味もあった読者(俺)としては残念だったが、その分バンコクは濃密に描かれています…が。ここに描かれるバンコクは、ヤクザや売女はもとより、腐敗した軍部や警察も含め、魑魅魍魎跋扈する、淫靡で猥雑な闇の都市。これを読んで微笑みの国に行きたいと思う読者はおりますまいて。さすがは馳ノワール、硬派であります。
そういう「都市小説」としてのインパクトが、ストーリーの行き当たりばったり感や、人物造形の平板さを慰めているような小説だった。しかしエイズ怖い。
評価はC+。
- 作者: 馳星周
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 2005/03
- メディア: 文庫
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