SymmetryS 『SymmetryS』

ラーメンズ小林と、FPM田中知之のユニット。
サブカル系雑誌でラーメンズ特集あったりすると、よくFPMがコメント寄せたりしてたからさもありなんのこの企画。FPMのトラックに、小林が音声コントを載せていくのが基本構造。笑えるかどうかと言われれば、残念ながらはっきりと笑えないので、お笑い作品としての評価は高いものにはできないし、トラックの良し悪しの判断はそもそもつかないのだが。
ひたすら「sex」言うてるだけの「Sex」から始まり、タイムカウントに各種世界記録をかぶせる「Record of Records」から、「yo」と「ah」だけでrapする批評作品(?)「NO Message Rap」、意味の連続した短文の文頭を抜き出してオチにする「サンプラー作文」など。
ラーメンズには既に「日本語学校」のCD化という音声作品があるが、あれは既存のコントの「音声化」だったわけで、当初から「音声のみ」という縛りのなかで構成されたのは初めてだろう。*1小林賢太郎というコント作家は、実験性・先鋭性にももちろんその特徴はあるし、それがハマった時の破壊力はラーメンズ初期の斬新なコント作品、それによって彼らが築いた地歩に何より証明されているが、結局一番「笑える」のはそのくくりのなかでも暴走してしまう悪ノリ感、キャッチーな「芸人」性、相方の怪人とのコンビネーションであったわけで。こういう枠の中で、一発ネタを突き詰めていくという構築の仕方は、確かに彼らしいものではあるけれど、僕が敬愛する小林賢太郎という芸人の魅力は、そこから大きくはみ出す過剰な部分にある。
まあ予測していた結果ではあった。もう10年近く観てるからね、分かってるよ。

SymmetryS

SymmetryS

*1:「ドラマチックカウント」とか、似たような実験性を感じさせる作品は既にあるが。