ネタバレ特になし。
タイトルの通り。新宗教とその巨大宗教建築に対する論考。教団の思想から空間の概念を読み取り、それをいかに「創造的に」現実の空間に建築として反映させていくか。天理教をはじめとして、大本教や金光教、戦後の寺院建築などをメインに述べられる。オウムの建築についてもフィールドワークを伴って触れられるが、付随的との印象は拭えない。それはつまり論考するに足る創造性の欠如を示すものかもしれないが。
博士論文を基としたもので、原著は学術系の新書だっただけあって(つかこの文庫も学術系だが)、内容的には結構カタいが、建築の門外漢でも読み物として楽しめる懐の深さも充分にある。特に質量伴った力作である天理教の項は読み応えがあって、実地を見学しに行きたくなった。
まあしかし、もっとキッチュでグロテスクな異形の建築を紹介して欲しかったという思いはあって。そうした姿勢・視点は著者によって非難され、戒められているところのものではあるが。でも「世界真光文明教団の主座世界総本山御本殿」のラヴォスみたいな佇まいには萌えましたね。
- 作者: 五十嵐太郎
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2007/06
- メディア: 文庫
- 購入: 4人 クリック: 42回
- この商品を含むブログ (30件) を見る