ナンシー関『テレビ消灯時間 1・2』文春文庫

ネタバレ特になし。
すげー久しぶりに読んだ。六年ぶりぐらいな気がするなあ。
コラムとしてはナイナイに対する視点が絶妙の距離感のリスペクトですごく好きだ。
時代状況としてはおもっきり過去のテレビ批評なのだけど、こうして興味深く読めるのは、単純にその質もあるけれど*1、ここから感じる「業」の故だと思う。これだけの知性が、「どうでもいいけど」「よくわからないけど」などと自嘲をたびたび挟みながら、それでもこのどうでもよく、そもそもわかるべき意味が最初から失われたものを観続け、評し続けざるを得なかったという事実。それはテレビ批評という枠を越え、読むものに人間の「業」というものを突きつけるはずだ。
よくわからないけど。
作品の評価はB。

テレビ消灯時間 (文春文庫)

テレビ消灯時間 (文春文庫)

*1:テレビ批評に「質」もクソもないのだが。そもそも彼女以外に読む価値のある評者はいなかった。