eastern youth/KEMURI

2007.6.1@名古屋クラブクアトロ
KEMURIの時にバーカウンタの前に吉野さんが来たので握手してもらいました。自分の最も敬愛する音楽家を目の前にしながら、言葉が何も出てこず。かろうじて「ありがとうございました」ぐらいは云えてよかった。錯乱したわ。ラーメンズ片桐の時はもっといろいろ云えたけどなー。小林だったら無理だったのかも。
最初に書いといた。
解散を発表したKEMURIと、イースタンのツーマン。エモとスカというそれぞれのコア・シーンを代表する、歴戦の猛者の対戦となりました。クアトロを埋めた観衆も、いい感じに年輪を刻んでいるように見えましたね。ダイアモンドのフジファブにも心惹かれましたが、ほぼ迷いなくクアトロ参戦。だってこないだの少年ナイフとの対バンはバンアパに行っちゃったし。
クアトロ、ソールドアウトだそうな。
1.eastern youth
先月のJAPANの告知コーナで、「3/8にニュー・アルバム『365歩のブルース』を発表したeastern youthが、主催イベント「極東最前線」を開催! 今回のゲストはハナレグミ」とかって告知してくれてたんですよ。ハナレグミだしな、そりゃ大いに告知してくれればいいんですけどね。それに確かにアルバム出たんですよ、3/8に。
去年のな。
…しかしいくらリリースの間が空こうが、新曲の披露などまったく期待できなかろうが、開演を待つフロアでの、それが身体感覚として自覚されるほどの鼓動の高鳴りは、いい加減ライヴ参戦も数こなしてきた現在となっては唯一彼らだけが味わわせてくれるもの。開演五分前に滑り込んだフロアで独りハアハア云ってたのは、会社からダッシュで来たせいだけではないハズ。多分。
イースタンの音は、いつだって俺にとってのロックの原初体験である。背筋が疼くベースの低音と、岩盤を叩き割るようなドラム、雷鳴のようなギターの疾走、一曲目「街はふるさと」から全開の爆音のなかにあって、自分が感じている興奮が、初めてダイアモンドホールイースタンを観た時とまったく同質のものだと感じた。惰性はもちろん、感傷にさえ流されない純粋な音楽体験として、盟友を送る彼らのロックは響いた。
攻撃的な陰と開放的な陽で描き出す夜明けの情景が鮮やかな「未ダ未ダヨ」、桎梏からの解放と再生の物語を走らせる「JETMAN」と「敗者復活の歌」、どちらかと云えば「定番」を外しながらも、地力で押し切る出色のパフォーマンスだった。
ただ、その後。
MCで吉野は、感傷を滲ませた。「よく酒は飲みに行くけど、ライヴをやる機会はあまりなかった。ギリギリで間に合って良かった」。そして鳴らされたのは、惜別の哀切そのもののような曲だった。「矯正視力〇・六」における、始発列車を見送る情景を、実際のエピソードで滑稽化してみせたのは、あるいは照れであったかもしれない。だがそうした感傷は、続く「夜明けの歌」においても表現の力となっていた。普通なら、この二曲は続けて演奏しないだろう。前半とは違い、そこに確かに感傷はあったが、それを最大限燃料にできる大名曲の連打。感涙は必至だった。自分でカラオケで唄ってても泣くのに。
ラストは「荒野に針路を取れ」。披露されたなかでは最新の楽曲だが、この曲は完全にアンセムになった。「夏の日の午後」も「踵鳴る」もないこの日のライヴだったが、それを補うなどというレベルではなく。多分こうやって、彼らは続いていく。純化されたメッセージに漲る決意が鳴って、惜別のライヴは終わった。

明日に何があるか知る由も無いが
生きている「今日」を見据えている
悲しみは不意に溢れて来るけれど
溺れてちゃ走れないんだ
(「荒野に針路を取れ」)

そして俺はこのフレーズを引用し続けるのだと思う。条件反射だな。
セットリスト:1.街はふるさと 2.男子畢生危機一髪 3.未ダ未ダヨ 4.青すぎる空 5.JETMAN 6.敗者復活の歌 7.矯正視力〇・六 8.夜明けの歌 9.荒野に針路を取れ
2.KEMURI
名前は勿論知ってるけど、ライヴはおろか音を聴くのも初めて。
最初っから全開。ポジティブでメロディックスカ・パンク・チューン大連打。フロアも大熱狂で、モッシュ&ダイヴの熱量では今まで観たバンドの中でも屈指だった。
エネルギッシュなボーカリストも好印象。いい笑顔で笑ってたね。ポジティブ・メンタル・アティテュードのスローガンそのままの、愛に満ちた空間でした。
しかしそんななかバーカウンタ前で俺が落ち着かない時間を過ごしたのは、まあまたしょうがないことだと思う。だって普通にいるんだもの。ビール瓶ボオボオ鳴らしてるんだもの。

帰りは山頭火でしおラーメン。スープの甘みは嫌いではないが。あんまりオシャレぶるなよ。