GRAPEVINE "tour 2007 ママとマスター"

2007.5.28@名古屋クラブダイアモンドホール
去年のゴーイングとのツーマンで4年ぶりに観て圧倒されて以来、待望久しかったワンマン。
今のこのバンドのライヴには、すべてがある。
たとえば。
縦ノリのビートの快感。
腰が揺れる粘っこいグルーヴ。
センチメンタルなメロディに涙腺が緩むこと。
極上のメロウネスへの陶酔。
純粋な演奏と歌唱のテクニックに感嘆すること。
深海の底を這いずるようなディープネス。
ユーモアとキュートさに微笑むこと。
色気と殺気。
煽りに拳と時にはピースサインで応えるコールアンドレスポンス。
自分が立てた微かな物音一つで、空間が崩壊してしまうような緊張感。
……ライヴハウスという場で喚起され得る感覚と感動のすべて、ロックという音楽が持つ可能性のほとんどを、現在のGRAPEVINEはその手中にしていると思った。ロックバンドの完璧な成熟形だろう。
個人的なハイライトは「Good bye my world」から「ママ」、「アナザーワールド」の流れ。グルーヴ感とセンチメンタルな美メロという両刀が高次元で融合した「Good bye my world」、最新アルバム『From a smalltown』中でも屈指のディープな世界観を持つ「ママ」、メロウ&センチメンタルサイド・オブ・グレイプバインの極地とも言える「アナザーワールド」、いずれも完璧。特に「ママ」の前半はグルーヴを介さずにあれだけの「深さ」を表現していたが、彼ら以外にこんな表現ができるバンドはいないと思う。あと「アナザーワールド」、滅茶苦茶好きなんだよねw。ただここで「ディープな曲を頂点とする流れ」でピークを迎えてしまい、その後似たような構成の「Juxtaposed」前後が多少空気緩んだのも事実。「豚の皿」「FORGEMASTER」あたりは惜しかったかな。
ああ、あと「遠くの君へ」が聴けたのが嬉しかった。最近の彼らの楽曲に唯一足りないのはこうした愛らしさだと思うのですよね。でもライヴじゃ昔の曲引っ張り出してきてこれまた完璧に補填できるもんなあ…。
なんだか尻窄んだ感のある文章になってしまいましたが、とにかく鉄板だということです。

何度も奏でて 色褪せて
悲しい程 繰り返そう
何も変わらなくたっていい
このままでいられる様
ここに突っ立ってるよ
(「指先」)

セットリスト:1.ランチェロ'58 2.スレドニ・ヴァシュター 3.シスター 4.(All the young)Yellow 5.放浪フリーク 6.南行き 7.ミスフライハイ 8.Good bye my world 9.ママ 10.アナザーワールド 11.インダストリアル 12.豚の皿 13.Juxtaposed 14.FORGEMASTER 15.指先 16.I must be high 17.棘に毒 18.COME ON 19.Scare 20.FLY 21.その未来 22.smalltown,superhero en.1.遠くの君へ 2.HEAD 3.Everyman,everywhere